虫垂炎
(1)虫垂炎とは
- 昔から盲腸炎の名前で親しまれている病気ですが、本当の名称は虫垂炎です。
- 盲腸の先端に、小指よりやや細く小さい、先が行き止まりになった腸管がついていますが、これが虫垂です。
- この虫垂に炎症が起こるときが虫垂炎と呼ばれるものです。
- 虫垂炎は、虫垂内の粘膜上の細菌が原因で発生する化膿性炎症ですが、しばしば食べすぎ、不摂生な食事などに引き続いて発生します。
- また腸炎に引き続いて発生する場合もあります。
- なお幼児では、かぜと思っているうちに虫垂炎になっていることがあります。
(2)経過と予後
- 軽い場合は、いわゆる腸炎と同じように、数日で治りますが、ときには1〜2日で穿孔性腹膜炎に進展する重症例があります。
- このような例は手術例の約5%以下ですが、このなかには稀に死亡する危険のあるものもあります。
(3)特有の痛みと腹膜炎の危険
- 症状は最初は悪心、ときに嘔吐のあと、腹痛が始まり、やがて右下腹部に限局した腹痛となり、発熱をともないます。
- 右下腹部の自発的痛みのほかに、その部分を指で押したときにも痛みが認められます。
- やや進行すると同部の腹壁の筋肉の反射性の緊張を生じて硬く触れます。
- まれには腹痛部位が中央かまたは左側にあることもあります。
- 症状の中で重要なことは、腹痛が徐々に強くなってきて、出たり消えたりすることが少ないという点で、虫垂周囲に炎症が広がってきていると痛みは固定してきます。
- 問題は急性虫垂炎が進行して、穿孔性腹膜炎になったとき、あるいは限局した膿が急に周囲に拡大したときで、その場合には、腹痛の範囲が拡大し、強く感じるようになります。
- 腹膜炎が虫垂周辺に限局している場合は、手術の結果は良くなりますが、広範に広がっている場合では治りにくく時には死亡します。
- とくに乳幼児、老人に危険率が高く認められます。したがって、なるべく早期の手術が必要です。
(4)診断の確定
- 急性虫垂炎の診断には、まず右下腹部、大体はへそと右側の腰骨をつなぐ線の中央よりやや外側付近の腹痛があることです。
- さらにその部分を圧迫するときの疼痛があることも必要です。
- それ以外には白血球の増加していること、発熱のあることがあげられます。
- しかし腹膜炎が広範に広がっている場合は、かえって白血球が正常か、それ以下に減少していることがあります。
- また時には嘔吐と腹部膨満が強くなって、腸閉塞(イレウス)の症状が出てくることもあります。
(5)早期手術の必要
- このような急性腹膜炎は、発症してから手術するまでの時間が長ければ長いほど、腹膜炎が進行して重篤になります。
- 一般には、急性虫垂炎はそのまま放置して治るものも少なくないと考えられていますが、なかに少数のものが、急性腹膜炎の拡大によって、手術して虫垂を切除しても、拡大している腹膜炎を治すことが難しいために死亡してしまうことがあります。
- この少数ではありますが、死亡する危険を防ぐために、早期手術が行われるようになったのです。
- 右下腹部の疼痛と圧縮、白血球の増加、軽い発熱がある場合、手術しても時々虫垂の変化があまり見られない場合がありますが、これらのなかには腸間膜リンパ節の腫瘍が見られるもの、あるいはまったく変化の見られない場合もあるので、手術に慎重を要する場合があります。
(6)手術後の注意
- 手術後はなるべく早期から体を動かすようにつとめます。
- 術後、数ヶ月より以降にまれに癒着による腸閉塞が発生することがあります。
- したがって急性虫垂炎の診断の不明確な場合は手術を控えて、経過を見るほうが安全といえます。
- 傷口にガーゼまたはゴム管の入っている場合は腹膜炎のひどい場合で、それだけ治癒までに日数がかかりますが、原則的には早く体を動かすほうが、回復を早めることに変わりはありません。
- ただし、最初の1週間は比較的安静が必要です。
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