緑内障(あおそこひ)
(1)緑内障
- 緑内障は、何らかの原因によって眼圧が正常範囲を超えて上昇し、そのために視神経が冒され、視力の低下、視野の欠損に代表される目の機能の障害が生じる病気です。
- 目の中では、毛様体から房水と呼ばれる液体が絶えず作られ、目の中を循環し、前房偶角と呼ばれる部分を通って目の外へ流れ出しています。
- 眼圧の高さはこの房水循環の様子で決定され、正常な場合は15ミリ水銀柱前後に保たれています。
- ところが、緑内障ではこの房水の目の外への流出が阻害され、生産された房水が目の中にたまってしまい、そのたまり方に応じて眼圧が上昇します。
- 一般に、眼圧が20ミリを超えているときは、緑内障の存在が疑われます。
- 緑内障はむかしから、「あおそこひ」の名で知られていますが、失明する原因としては世界各国で1位から3位の間に位置しています。
- 緑内障は40歳以降に多く、成人病のひとつといえます。
(2)緑内障の種類
- 緑内障は眼圧上昇の原因によって
- 眼圧上昇の原因が不明である原発性
- 他の目の病気あるいは薬物などによって眼圧が上昇する続発性
- 眼球の先天的な発達異状による先天性
の3つの種類に分けられます。
- さらに、原発性ならびに続発生緑内障は発病の様相から急性型と慢性型とに分けられ、また、房水がそこを通って流出する前房隅角の形態から開放隅角型と閉塞隅角型にそれぞれ分けられます。
- 原発性緑内障は時期の差はあっても必ず両目を冒しますが、その他の緑内障はそうとは限りません。
(3)緑内障の症状
- 緑内障の症状は、その発病の時期、眼圧上昇の程度とその早さによって非常に違いがあります。
- そのうえ、続発性緑内障ではその原因となる病気の症状が加わるのでいっそう複雑になります。
- 一般に、眼圧が徐々に上昇する慢性型では自覚症状は軽微で、目が疲れやすく、ときどき頭重感があり、灯火のまわりに虹のスペクトルが輪状に見えたり、時々目がかすむ、といった程度でまったく自覚症状のない場合も珍しくありません。
- 一方、眼圧が急上昇して発病する急性緑内障では、古くから急性炎発作として知られている眼痛、視力低下、頭痛、充血、悪心、嘔吐をともなうのがふつうです。
- したがって、緑内障の自覚症状は、まったく無症状の状態から、このような激烈な症状を示すものまで千差万別と言えます。
- このため、自覚症状に乏しい場合は眼科医を受診するのが遅れ、激烈な症状を持って発病した人では一刻も早く眼圧を下降させる必要があるはずにもかかわらず、頭痛、嘔吐といった症状に惑わされ、内科あるいは外科の病気と誤まる場合があります。
(4)緑内障の検査と診断
- 緑内障はこのようにいろいろな種類があり、しかも症状も多岐にわたる複雑な病気ですから、正確な診断と適切な治療のためには多くの検査が必要となります。
- なかでも特に大切な検査として眼圧測定、前房隅角検査、視野検査、眼底検査があります。
- このほか、眼圧計を4分間持続して角膜の上に保持して、房水の流出状態を測定するトノグラフィーも重要です。
- また、疑わしい病型によっては、空腹時に水を飲み眼圧の変化を測定する飲水試験、暗室に入り、瞳孔が広がることが眼圧に与える影響を見る暗室試験などの様々な負荷試験や、1日のうちでの眼圧変動の程度(日内変動)の測定が必要になります。
- 眼圧測定は麻酔薬を点眼したあとに圧平眼圧計あるいはシェッツを用いて行います。
- 苦痛はまったく無く、1〜2分間で終わります。
- 前房隅角検査は点眼麻酔のあと、目の上に特殊なレンズをのせて、房水が眼外へ流出する経路である前房隅角を観察する検査で、緑内障の診断と治療の上で欠くことができません。
- 視野検査、眼底検査も緑内障の病期の判定の上で重要な検査です。
(5)緑内障の治療
- 緑内障の治療の根本は、病的に上昇した眼圧を下降させ、目の機能障害の発生あるいは進行を防ぐことにあります。
- 原発性緑内障はその治療方針の上で、薬により眼圧を下降させた後、手術をしなければならないものと、一生の間なるべく薬だけで眼圧の調整を行うべきものとの2つの種類があります。
- 急性緑内障は、薬で眼圧を正常化させ、手術を行いますが、慢性緑内障の開放隅角型のばあいは薬物療法のみになります。
- 薬により、眼圧の調整を行う場合に大切なことは、1日24時間を通して眼圧を正常範囲内に保つことです。
- 医師はこのために必要な点眼薬の種類、濃度、点眼回数、内服薬の分量を指示するわけですから、これに従うことは非常に大切です。
- 薬を指示通りに用いなかったり、あるいは薬がなくなっても放置しておくと、眼圧は上昇し、遅かれ早かれ目の機能障害が起こります。
- また、最初は良く効いた薬も、長期間使用しているうちに次第に耐性が生じて効きにくくなります。
- したがって、薬で眼圧の調整が順調にいっているときでも、規則的に診察を受ける必要があります。
- 眼圧を下げる点眼薬は多くの場合瞳孔を小さくするので、あたりが暗く感じられますが、続けているうちに慣れていきます。
- また、内服薬で手足の先がしびれる感じがすることがありますが、薬を中止すれば治りますから心配はいりません。
- 緑内障の手術は、虹彩を小さく切除する虹彩切除術と、房水の新しい排出路を作る手術とが主になります。
- 虹彩切除術は手術の危険も少なく、適応を誤らなければ大体好結果を得ます。
- 一方、新しい排出路を作る手術は、せっかく作った排出路が時にふさがってしまい、再手術が必要になることがあります。
- 一般に、緑内障は大変難しい病気で、いったん悪くなった視力や狭くなった視野を回復することは困難です。
- したがって、できるだけ早く病気を発見し、生涯にわたり十分な治療を行うことが大切です。
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